節分も立春も過ぎましたが、まだまだ寒さが続きますね。
当館の工事は進み、4階にも足場が組まれ、北側のバルコニーからシートがかけ始められました。
この足場とシートについては、また改めてご紹介する予定です。
さて前回の「工事だより vol.2」で、当館3階和室の畳をすべて外したことをお伝えしましたが、その続報です。
現在、畳がすべて取り払われて板間の状態ですが、この床板は実は建築当初から残るオリジナルのものだそうです。
このことは昭和60年~63年に行われた保存修理工事の際に分かっていましたが、今回の工事で改めて根拠を確認することが出来ました。
興味深い内容でしたので、皆様にもご紹介いたします。
床板の写真です。
よく見ると一枚一枚、板の幅が違います。
写真中央の板が特に幅が広いので分かりやすいかと思います。
文化財保護に携わられている兵庫県教育委員会の担当の方によると、板幅が今のように均一に規格化されたのは機械が普及した戦後からで、このように幅が違うのは戦前の建物によく見られるそうです。
そして板のアップです。
うっすらと斜めに線が入っているのが分かるでしょうか?
この線は、近年使用されている電動の回転式ノコギリではなく、手作業でノコギリを使って板を切断すると表れるそうです。
斜め線の下、平らになっている箇所はかんなをかけた跡かと思われます。
昭和前期までは作業現場に木材を切る専門の職人がいたそうで、ここでも現場に木材を持ち込んで製材していたのかもしれません。
電動ノコギリやチェーンソーが日本に普及したのは昭和30年代のようですので、このことからも、この板は戦前のものだと推測できます。
文化財ですので、このような普段目に触れない床板であっても、出来る限りオリジナルのものは未来に残す必要があります。
最初の修理工事でも、このオリジナルの床板を再利用できるよう、床板を外すときに一本一本釘を丁寧に抜いていたそうです。
工事を進めていると、いろいろな発見があります。
また新しい情報が入り次第、このブログで紹介して参ります。