11月3日(金・祝)4日(土)に、ヨドコウ迎賓館保存修理工事見学会を開催しました。
2日間とも天気に恵まれ、すっきりとした秋晴れでした。
芦屋川沿いや当館の敷地内にも赤くなり始めた木々が見受けられ、ちょうど紅葉の見頃を迎えています。
当日は10時から、13時半から、の2回の見学会を実施し、各回約20名の方にご参加いただきました。
10名ずつ2班に分かれて、2階応接室と4階食堂から説明を開始。
当館の来歴・全体的な特徴や今回の工事の概要について説明した後、館内を移動し各ポイントでそれぞれの特徴や工事の状況を説明しました。
3階の和室では、畳や床板を外した状態をご覧いただきました。床下を見ていただく機会はなかなかありません。
また東側のバルコニーには、床に使用されている装飾を施した大谷石の敷石を展示しました。
3階子ども部屋には、当館の建設当初の模型と今回の工事の概要を説明したパネルを展示しました。
4階南側バルコニーです。
最表層の保護モルタルとその下の防水層をはがした状態で、コンクリートが露出しています。
工事開始前にはここから芦屋市街の景色をご覧いただけたのですが、現在は足場や素屋根のテントで覆われています。
以前にこちらのブログでもご紹介したように、この足場・素屋根には工夫が施されていて、外側からだとテントに隠れて見えませんが、内側からだと分かりやすいかと思います。
今回の見学会では通常は公開していない場所もご覧いただきました。
上の写真はどこか分かりますでしょうか?
答えは4階食堂横の厨房奥の扉です。今回特別に中に入っていただきました。
この扉は使用人室や洗濯室・使用人用のトイレに繋がっていて、勝手口に降りる階段もあります。
使用人が主人やゲストと顔を合わせずに仕事ができるよう動線が分かれているのです。
普段は公開していない場所をもう一つ。
4階食堂東側バルコニーです。
通常公開しているのは先程もお見せした南側バルコニーです。
ここには大谷石で出来た階段があったのですが、工事のため解体して、現在はコンクリートのスロープになっています。(写真の右側は工事用の仮設階段)
上の写真のスロープの上にあるのが、階段に使われていた大谷石です。三角柱の形をしています。
このスロープにアスファルト防水を施し、その上に三角形の大谷石を下から順番にモルタルで固定していきます。
主に意匠やコストの問題でこのような形状にしたと考えられています。
2階の応接室では、質の異なる数種類の大谷石や、補修のために配合を見直している飾り石の材料である山砂や砕石、サンプルとして製作した飾り石用の部材、工事の写真等を展示しました。
飾り石のサンプルについてはこちらのブログでもご紹介しています。

山砂や砕石のサンプル
約60分解説をしながら館内をまわり、その後30分ほど自由に館内をご見学いただき、90分の見学会は終了です。
参加者の方々は皆さまとても熱心にご見学され、建築関係の方が多かったせいか、専門的な質問もたくさんいただきました。
当日いただいていない質問等がございましたら、お気軽にコメントにてお問い合わせいただければ回答させていただきます。
今回は、初めての工事見学会ということもあってか予想以上のご応募をいただき、各回とも抽選となってしまいました。
今後もこのような見学会を開催する予定ですので、今回はご参加いただけなかった方も是非またご応募ください。
予定が決まりましたらホームページ、ブログ、Facebook等でお知らせいたします。