各部屋の紹介

1アプローチ

「ヨドコウ迎賓館」へのアプローチは、ライト独特のものです。道路から敷地に入った時に、すぐそこに玄関があるという一般的なアプローチと異なり、最も奥まったところに玄関が設けられています。
この住宅の内部に入る前に、敷地内の導入路をたどって、右手に見えるこの住宅の外観を観賞しながら玄関に到達するようになっています。

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2車寄せ

玄関にあたる車寄せは左右対称の厳格なデザインになっていますが、外装に使われている大谷石(おおやいし)の、でこぼこのある質感と暖かい色合いが厳格なデザインの中にも柔らかさと安らぎを醸し出しています。
また、吹き抜けの開口部になっており、天井に凹凸がないため景観がすっきりと見通せます。

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3エントランス

向かって左側が建物内部への入口になります。
玄関先には大きな大谷石の水盤があり、建物に対する重しをイメージしています。壁にはめ込まれた石柱から、ちょろちょろと水が流れるようになっており、石をくりぬいた小さな窪みに注ぎ込み石清水の風情を漂わせています。当時は雨水が屋上の方から流れるようになっていたようですが、現在は水道から水を引いています。

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42階 応接室

応接室の入口は、左右を装飾された暖炉や柱の大谷石にはさまれ、幅が約62cmと大変狭くなっています。この狭い入口を通って室内に入ると天井の高い広々とした空間が目の前に広がります。狭い入口はその次に来る広い空間を強調しており、ライトはこのような空間構成を他の作品でも好んで用いています。
応接室の壁面には飾り棚や置台がたくさんしつらえてあり、壁の上にはたくさんの通風口がドアの形で設けられ、独特の雰囲気を醸し出しています。
正面南側の出入り口にはバルコニーがあり、芦屋市街はもちろん大阪湾さえ眺望できます。
応接室の北側に大谷石で作られた大きな暖炉があります。ライトは「建物自体のどっしりした石積みの奥で、赤々と燃える炎を見つめるのは心安まるものである」と言っていますが、暖炉には強い思い入れがあったようです。この迎賓館には設計段階で3ヶ所の暖炉があり、後に1ヶ所追加されて現在は4ヶ所になっています。
写真手前のテーブルと椅子はライトのオリジナルではなく、当社がライトのデザインを模して制作したものです。
応接室には左右に嵌殺しの大きな窓があり、周囲の景観を楽しめると同時に室内を明るくしています。
窓の下には作り付けの長椅子が配置され、座りながらゆったりと観賞できるように配慮されています。

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53階 西側廊下

三階の長い廊下は、西側に並んだ足下までのびた大きなガラス窓によって、とても明るくなっています。窓は当時のアメリカではめずらしい外開きになっており、一般的だった上げ下げ窓をライトは採用しませんでした。これは自然に溶け込んだ建築を理想としたライトの、「室内を屋外と関連させ、外に向かって自由な開放を得るため」という考えからだったようです。
窓に使われている飾り銅板は、植物の葉がモチーフとなっているようで、他の場所の窓やドア・鴨居の上の欄間など随所に使われています。形だけでなく色も自然のグリーンに近づけるためわざわざ銅に緑青(ろくしょう)と呼ばれるサビを発生させています。
この廊下での銅板を利用した光と影による演出は特に印象的で、太陽の光が窓から入ると銅板を通して床に影を落とし、まるで葉のすき間から射し込む木漏れ日のような効果を演出しています。

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63階 和室

この建物の外観からは、想像しにくいことですが、3階のメインの3室は、畳敷きの和室になっています。これは当初のライトの設計には無かったものが、施主の強い要望で実現した部屋です。飾り銅板を使用した欄間が印象的です。

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73階 北側廊下・階段

廊下の東側は作り付けの収納家具になっています。この建物には至るところに作り付けの家具がありますが、ライトは室内設計にあたって物入れ・棚などはもちろん長椅子までも作り付けにし、統一感のある端正な空間構成を目指しました。
家具の材料にはマホガニーという外国産の高級木材が多用されています。
3階和室から4階へ上がる階段の壁は、実は土壁になっています。土壁というのは、竹で編んだ枠組みに土を塗っていく、日本の木造建築の手法です。全体的にはほとんどの場所でコンクリートが使われていますが、他にも、例えば玄関を入った東側の壁や和室西側の壁など、室内の壁にはところどころこのような土壁が使われています。

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83階 家族寝室(復元家具)

3階家族寝室には、竣工90周年を記念して復元した、竣工当時の机と椅子を展示しています。
現在、当館内には竣工当時の家具はひとつも残されていませんが、竣工時はこの建物にあわせて設計された家具が複数置かれていました。ライトや、その思想を受け継いだ遠藤新・南信の考えの中で、家具は暮らし方を形にした室内空間を構成する大きな要素であり、欠くことのできないものでした。家具の復元はライトや遠藤、南が意図した室内空間の復元にも、一歩近づいたことになります。
机と椅子は装飾も豊かで、机は脚から天板が外側に突き出すキャンティレバー(片持ち梁)になっています。実際に座っていただけますので、ぜひ体験してみてください。

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93階 寝室(売店・ビデオ放映)

北に向かって続く2つの洋間は寝室として使われていました。現在は、南側を売店、北側をビデオを流す放映室として使っています。北側寝室のバルコニーは竣工時の敷石が残っていますが、風化が著しく、雨水による更なる風化を防ぐためにガラス板を設置して保存しています。
売店では、当館オリジナルのキーホルダーやクリアファイル、Tシャツ等をはじめ、ライトの作品をモチーフにデザインされたグッズも取り扱っています。

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104階 食堂北側

食堂は特に装飾性が強く、正方形に近い平面を持ち、暖炉を中心に左右対称の厳格なデザインになっています。欧米では食堂は一家団欒の場というよりは、むしろ厳格な儀式の場という認識もあるようです。
壁面にしつらえた木製の装飾は、ほとんど構造上の役割は負わされていませんが、端正で厳粛な雰囲気を醸し出しています。
写真右側の扉は、奥の厨房への入口になっています。厨房には当時(大正末期)、欧米製の高価な電気製品が並んでいたようです。
天井は中央部が最も高くなった船底形になっており、三角形の小窓がアクセントになりバラエティー豊かな空間が演出されています。この小窓は、換気(現在は開けることができません)と同時に昼は光が射し込み、夜には星空を眺められるというロマンチックな空間を作り出しています。

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11バルコニー 北側

食堂南側のドアからバルコニーに出られるようになっています
バルコニーから食堂を見ますと屋根は台形になっており、軒先に配された大谷石や庇に施された飾り石がこの建物を魅力的なものにしています。さらに中央に高く伸びる煙突さえも装飾の一つとしてこの建物に個性を与えています。バルコニーは広々としており、美しい山並や海が望めるここからの眺めは絶景です。
2階の屋上と3階の屋上がバルコニーになっており、アーチつきの階段でつながっています。このアーチも狭くて天井が低くなっていますが、これは応接室の入口などと同じように、狭い空間を抜けた先に開ける広い空間を強調するための演出といえるでしょう。

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