栃木県宇都宮市を拠点に活動されている大谷石(おおやいし)研究会の皆様がヨドコウ迎賓館にいらっしゃいました。来館されたのは理事長の小野口様をはじめとする9名の会員様方です。
大谷石研究会は、2001年に「大谷石産業の再生」と「大谷地区の観光の振興」を目的に発足したNPO法人です。大谷石の多面的活用や栃木県宇都宮市大谷地区の活性化、観光面の環境整備を図るとともに、大谷石文化の研究、発掘、継承、普及に取り組んでおられます。
全国にある大谷石を使用した建物の中から特に優れているものを『大谷石百選』として独自に選定されていて、その建物をまわる視察旅行の一環として、この度ご来館されました。
ヨドコウ迎賓館では外装をはじめ、内部の柱や階段など至る所に大谷石が使用されており、『大谷石百選』にも選ばれています。
当館では大谷石研究会様とかねてより交流があり、大谷石に関する様々な情報をご教示いただいています。昨年、スタッフの一人が宇都宮市を訪問した際には、採石場や建造物など大谷石に関するスポットを案内していただきました。
一口に大谷石と言いましても、その色味や硬さなど、いくつもの種類があるそうで、会員の皆様はそういった視点で意見交換をされながら、当館の大谷石をとても興味深くご覧になられていました。
小野口様は今回が初めてのご来館でしたが「内装・外装とここまで沢山の大谷石が国の重要文化財に使用されていることを嬉しく思います」とおっしゃっていました。
当館だけではなく、旧帝国ホテルや自由学園明日館などフランク・ロイド・ライトの日本での業績には、同じように大谷石が多用されていて、大谷石は日本におけるライト建築を特徴づけるもののひとつだとも言われています。
軟らかく加工がしやすい材質で、独特の凹凸がある質感や暖かみのある色合いを持つ大谷石は、自然をテーマとしたライトの建築思想を表現するのにふさわしい石材だったようです。
建築石材として古くから関東地方を中心に使用されてきた大谷石ですが、内装材として利用したのはライトが最初だったと言われています。
現在では内装材に加えて、コースターや照明器具の素材に使用されるなど、新たな使用方法も増えてきています。もしかすると、皆さんの身近にも大谷石が使われているかもしれません。
最後に、大谷石の産地で、大谷石研究会の本拠地でもある宇都宮市大谷町の、代表的な大谷石関連のスポットをご紹介します。
<大谷資料館>
元は昭和61年まで使われていた大谷石の地下採石場です。中はとても広く、戦時中は陸軍の地下倉庫や戦闘機の機体工場としても利用されていました。採掘道具や運搬具などの資料も展示されており、大谷石に関する歴史と変遷が学べます。現在では、コンサートや美術展の会場や、写真や映画のスタジオとしても注目を集めている場所です。
http://www.oya909.co.jp/

<カトリック松が峰教会(国登録有形文化財)>
http://www2.ucatv.ne.jp/~matumine.sea/

<小野口家住宅(国登録有形文化財)>
大谷石研究会理事長の小野口様の邸宅です。石造建築物6棟全てが文化財に指定されています。
長屋門の一部は収蔵品の展示や芸術家の作品発表の画廊として開放されています。
http://www5.plala.or.jp/toeido/
※内部の見学は要事前申し込み

<屏風岩石蔵(栃木県指定有形文化財)>
※外観のみ見学可能
大谷石研究会ホームページ
http://www.ooyaishi.org/