前回の工事だよりvol.5でお伝えした飾り石の補修の続報です。
もしお時間があれば前回の内容を踏まえた上で読んでいただけると、より分かりやすくなるかと思います。
【Ⅰ型】
【Ⅱ型】
当館の飾り石には上の写真の通り【Ⅰ型】【Ⅱ型】の2種類ありますが、どちらも大谷石の砕石、砂、セメントを混ぜて作られています。
しかし、経年によって剥落・剥離している箇所が多く見受けられました。
そのため、補修にあたって、まず耐久性を高めるために材料や配合比率、仕上げ方などを見直しました。
ここまでが前回のブログの内容です。
材料の検討が終わり、先に【Ⅱ型】の施工方法が決まりましたので、2つのケースに分けてご紹介します。
1.破損がひどく全体を復原する必要がある場合
全体を3つのパーツに分け、現場施工と、前もって部材を製作して現地で取り付けるプレキャストの、2つの方法を組み合せて対応することになりました。
最も大きいパーツ①は、現場で型枠を取り付けて施工します。
パーツ①
パーツ①用 型枠部材
型枠取り付け
型枠取り付け完了
取り付けられた型枠の中に、大谷石の砕石、砂、セメントを混ぜた材料を流し込み、材料が固まったら、表面にサンドペーパーをかけて風合いを出します。
残りのパーツ2種類も、それぞれの型枠に材料を流し込んで作ります。
現場施工ではなく、こちらはプレキャストでの対応です。
パーツ②


パーツ③


①②③すべてのパーツを組み立てると、このようになります。
2.部分的な補修を行うケース
部分的な補修の場合は、左官もしくは補修する場所に合わせてパーツのサイズや形を加工して対応します。
補修場所に合わせて加工されたパーツ
パーツ取り付け
以上が、今行っている補修の内容です。
今回ご紹介したのは【Ⅱ型】ですが、こちらは建築当初からのものが比較的残っており、部分的な補修が多くなりそうです。
一方【Ⅰ型】は劣化が激しいため、現時点での補修は部分的なものにとどめ、今回使用した配合の耐久性を観察した上で全数の補修を行う予定です。
全部で177個ある飾り石ですが、このように一つ一つ手を尽くしながら補修を行っています。
すべての飾り石の補修が完了するのはまだまだ先になりますが、作業の進捗については随時こちらのブログでご紹介してまいります。